[立野窯日記]2011年11月

中野純ウェブサイトは、LinkIconhttp://www.junnakano.com/へ移転しました。
このtatenogama.comのアドレスはアーカイブとして当面残してあるものです。

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2011/11/26(土)12月1日・初冬の室内楽コンサート


12月1日(木)夜7時より、市ヶ谷ルーテルホールにて
母が企画、出演する室内楽のコンサートが催されます。



[ 初 冬 の 室 内 楽 ]
 -The chamber music of early winter -

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 日時/2011年12月1日(木)19時開演
 会場/ルーテル市ヶ谷センター

◉プログラム
 高橋 滋子     フルートソロのための レクイエム
 山田 耕筰     この道、曼珠沙華、松島音頭
 ルドルフ大公    クラリネット・チェロ・ピアノのための トリオ 変ホ長調
 増本 伎共子    中世風の三つの歌
 J.ハービソン    ヴァイオリン・クラリネット・ピアノのための 変奏曲 より
 C.M.v.ウェーバー ピアノ・フルート・チェロのための トリオ ト短調 作品63

◉キャスト
 ソプラノ   前田地香子
 フルート   糸井正博
 クラリネット 二宮和子
 ヴァイオリン 石井志都子
 チェロ    安田謙一郎
 ピアノ    中野洋子

◉チケット/4,000円(自由席)

お問い合わせ、チケットご希望の方はコンタクトフォームよりお気軽にご連絡ください。
当日はぼくも会場にいる予定です。
お出かけの際はどうぞ声をおかけくださいな。

LinkIconコンタクトフォーム




2011/11/24(木)金沢展に向けて・Ⅱ


先々週の日曜日。

家庭教師時代の教え子のマサシ(当時12歳、現在29歳!)が
数年ぶりにメールをよこしました。

「久しぶりに週末工房に行ってもいいですか?」



マサシはぼくが大学の時に中学受験をみた教え子なのですが
以来、高校の時や大学進学後、就職後など節目節目で連絡をくれて
近況を聞いたり、一緒にご飯を食べたりしている
ぼくにとって年の離れた弟のような存在です。




会う時はいつもご飯をご馳走しているのですが
一番思い出すのは7年前、彼の就職後に会った時のこと。

当時ぼくが住んでいた吉祥寺まで来るというので
おいしい焼き鳥屋に連れていきました。

就職した会社のことや小学校の頃の思い出話に花を咲かせ
最後、いつものようにぼくがお勘定をしようとしたら

「あ、先生今日はぼくに払わせて!もう給料もらってるんだから!」

と言い出しました。

「いいよまだ大変だろうし無理すんなって」

「いいじゃん今日くらいは払わせてよ!頼むよー!」


押し問答の末、
「じゃあ今日はマサシにご馳走になるか」とありがたく奢ってもらうことにしました。
たぶん、彼なりに「きっといつかは…」と思ってくれていたんだと思います。
それで、今日こそは、と。


その気持ちがうれしいのと、こいつも一丁前になりやがって、という思いで
お勘定を待つ間、一人ニヤニヤしてしまったのを今もよく覚えています。

マサシに奢ってもらう日が来るなんて、こいつも大人になったなあ、と。


でもなにより一番おかしかったのは
「払わせてよ!頼むよー!」と言った時の困ったような顔が
小学生の時に「えー、宿題多すぎるよー。減らしてよー」と言っていた時の顔と
全く変わっていなかったこと(笑)。

ぼくにとってはいつまでもあの時のマサシのままです。




話が逸れましたが
そのマサシが「工房に行ってもいいですか?」と聞いてきた先週末は
友人の手を借りて金沢展の梱包をする予定になっていました。


それは前から決めていたことで個展まで日にちの余裕もないので
かわいい教え子とはいえ、ゆっくりマサシの相手をする時間は取れません。

そこで先生特権(笑)で

「じゃあついでに梱包手伝え。
その代わりゆっくり話がしたかったら前の晩から来ていいよ」

と返信したら

「本当?じゃあ前日夜入りでもよいですか?朝イチで梱包作業がんばる。」

…本当にいくつになってもかわいいなあ(笑)。


教えていた当時からはや17年が経ち
12歳だった彼は今は29歳。
22歳の大学生だったぼくはもう39歳。



会社では働き盛りになってきてバリバリ仕事もしているであろう彼は
今ではちょっと大人ぶってぼくのことを「中野さん」と言おうとするのだけど
ちょっと気を許すとすぐに「えーだって先生さあ…」なんていう風に
言い慣れた昔の呼び方に戻ってしまうあたりもまたかわいい(笑)。



数年ぶりに「工房に行ってもいい?」という連絡が
ぼくにとっては初めての金沢展の梱包作業の日というタイミングだったわけで
翌日、梱包作業を手伝ってもらいながら、

「あの小さかったマサシに、まさか個展の梱包を手伝ってもらう日が来るとは…」

手を止めてこっそりそんな感慨に浸っていました。

それはぼくにとって、金沢展へ向けてのエールがひとつ増えたような、
小さくもうれしい出来事でした。



人と人との縁というのは一過性のものではなく
こうして年月を経る中で少しずつ変わりつつも積み重なっていくものだ、
そしてそれはこんなにも、こんなにも楽しみなことなんだ、ということを
ぼくは彼から教えてもらいました。













もうひとつ。


2006年4月、ぼくは神戸大丸で、関西で初めての個展をしました。

ぼくの個展会場である「アートギャラリー」の隣には
1.5倍くらいの大きさの「美術画廊」があり
そこでは、あるギャラリーさんが絵の展覧会をしていました。

会場が隣同士なので、ちょっと時間の空いた時に
店番をしていたそのギャラリーの若いスタッフさんと話をしていました。

個展会場というのは人の波があるので
来る時と来ない時がけっこうはっきり分かれていて
手の空いた時にスタッフさんや他の作家さんと
互いの会場を訪問しあったりすることがよくあります。
まあほとんどはその場での遣り取りだけで終わるものなのですが
(みんな仕事で来ているので結構クールなのです)
そのスタッフさん(清水くんと言います)とはなんとなく波長も合うので気に入って
会期中友人と飲む約束のあった晩に、もし一緒でよかったらと声をかけてみたら
ぜひということで、一緒に飲みに行きました。


その後も東京の個展に来てくれたり
「仕事でたまたま松屋に来たらちょうど先生の個展がやっていて…」と
うれしそうに顔を出してくれたり
東京アートフェアでばったり会ったり
なぜか偶然が重なるんです。



FBでも最近つながって
「どこかの催事でまた一緒になったら楽しいね」なんて遣り取りをしていたのですが
百貨店だけでも日本全国にたくさんあり
ましてや会期まで重なるなんてことは滅多にあることではありません。


それがなんと、先日清水くんから連絡があり
ぼくの個展がある前の週に、同じ大和の美術画廊の催事で出張になったというんです。
これには本当にびっくりしました。

こんな偶然ってあるものなんだー、と。


そして、ついでにぼくの個展の搬入も手伝ってくれて
そのあと晩ご飯を一緒にすることになりました。



これでまたひとつ、金沢展に向けてのうれしい偶然が増えたわけです。





今回の金沢展では、
その成り立ちにはじまって、また個展に向けての準備のなかで
このように小さな偶然がいくつも重なってきています。



偶然は隠れた必然、なのかどうかはわかりませんが
たまたま縁あって知り合って気も合う人たちと
個展をする中でこうしてさらに縁が自然な形で積み重なっていくのを感じられるのは
ぼくにとってはなにより幸せなことです。
ふだんの制作が孤独な作業であるだけに余計そう感じられるのかもしれません。





本当に、たくさんの方のお力添えで
この金沢展に向けてはとても素敵な流れができました。

あとは、何より肝心な
ぼくの灰釉の世界を、金沢をはじめ北陸のみなさまに観ていただくだけです。
果たして加賀百万石のお膝元でどんな反応があるのか
ドキドキする部分もありますが
まずはぜひ観に来ていただけたらうれしいです。



[中野 純 作陶展 -natural colors -]

 会場:金沢・香林坊大和 6階 ギャラリーKOHRIN
 会期:2011年12月7日(水)〜13日(火)(最終日午後5時閉場)

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2011/11/23(水)金沢展に向けて・Ⅰ


金沢での初個展まで、ちょうどあと2週間となりました。
金沢のみならず、北陸地方全体でも初めての個展となります。

加賀百万石のお膝元で、伝統工芸盛んなお土地柄であることはもちろん、
金沢21世紀美術館などコンテンポラリーアートにも感度の高い金沢での個展は
ぼく自身とても楽しみにしています。





今度の金沢展、大和さんから個展を頼まれた、その事の起こりは
ちょっとした偶然からでした。


ある日突然、うちに電話がありました。
「大和の美術部の○○と申しますが、うちで個展をしていただけないでしょうか」と…。

大和というのは、金沢に本店を持つ、北陸地方を地盤とした老舗の百貨店さんで
それまでぼくとはまったくつながりはありません。



ん?どういう風の吹き回しだ?と思ったら
「福井の○○様からご紹介いただいて…」とのこと。

福井の方で、2002年の名古屋の個展でぼくの藁灰釉大壺を買ってくださった方がありました。
その方の家では、毎年夏の間の半年間、その大壺を玄関に飾ってくださっているそうです。



2009年5月のある日、
たまたまその方の家に大和の若い外商さんが来られたことがあったそうです。
そして、玄関で見たその大壺にたいそう惚れ込み、
別の用件で来たにもかかわらず、それを作った作家のことを根掘り葉掘り聞いてきて
その福井の方は「若い方でもこういうのに興味持つことあるのねえ」と感心しながら
保管してあった過去の個展DMを見せ、こういう作家さんで…と説明をされたんだとか。


そして話がそのまま美術部にあがり
美術部からぼくへの依頼が来たということのようでした。

あとで聞いたら外商さんが来た翌日にすぐうちに電話があったので
その外商さんは店に帰ってすぐ美術部に連絡を入れ、美術部が個展依頼の判断をしたようです。




その福井の方がぼくの大壺を買われなかったら。

買っても玄関に飾っておかなかったら。

訪ねてきた外商さんがたまたまその人でなかったら。

一般的には保守的な百貨店の美術の中で、大和の美術部が
土地に縁もゆかりもない若手作家に個展を依頼するという、冒険的な判断をしなかったら。



…今度のぼくの金沢での個展は予定されなかったことになります。





そう思うと、縁というものの不思議さをつくづく感じます。











個展の話を受けたものの
ぼくにとって金沢はこれまで縁もゆかりもなかった土地。
個展の案内葉書を作っても配る先もありません。

ぼくはどの個展でも会期の間は会場にいることにしているのですが
一週間ずっと閑古鳥なのも淋しいなーと思っていたら
「ぼく石川出身です」「私友達がいるから宣伝しておきます」と
草の根宣伝をしてくれる人が何人もあらわれました。


また他の土地でのお客さんですが
「金沢だったら前からずっと行ってみたかったところだから
中野さんの個展があるんだったらついでに行ってみようかしら」
という方もありました。


他にも「そういえば以前の東京の個展でのお客さんで
実家のある金沢に帰るという方がおられたな」と思い出し、個展の知らせをしてみたところ
「楽しみにしています!」との返事がありました。
しかも「よかったら晩ご飯ご一緒しませんか?おいしいところにご案内します」との
うれしいオマケ付き。



そんな風に、思ってもみない中で
何人もの人に応援してもらったり、楽しみにしてもらったり……。

そういうひとりひとりのお気持ちが、なによりぼくに力を与えてくれています。


縁は広がるもの。それをつくづくと実感します。





……ぼく自身、金沢での個展がだんだんと楽しみになってきました。



(続く)




2011/11/18(金)チャリティ箸置入金報告。


東京展に続き、名古屋展におきましても
個展会場にて「チャリティ箸置プロジェクト」を展開させていただき
多くのみなさまからあたたかなご賛同をいただいて
用意した100個を完売し、100,000円をお預かりしておりました。

先日、全額を日本赤十字社・東日本大震災義援金として寄付を済ませましたので
ここにご報告いたします。

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これで、東京展の100個 104,000円と合わせ、200個 204,000円となりました。
ご賛同いただきましたみなさま、どうもありがとうございました。



このところ千葉でも急に寒くなりました。
ニュースを見ると東北の被災地では
断熱の十分でない仮設住宅で暮らしておられる方が今も大勢いらっしゃいます。
さぞ寒さでお辛い思いをされていることと思います。
この小さな小さな試みでどうなるものでもありませんが
ほんのわずかでも、寒さをしのぐ助けになっていってくれたら、と祈るばかりです。



このプロジェクトはこのあとも金沢の大和さん、広島の福屋さんでも
ご協力いただけることになりまして、個展会場にて展開する予定でおります。
よろしければご賛同のほど、よろしくお願い申し上げます。

プロジェクト詳細はLinkIcon「中野純・箸置1000個プロジェクト」をご覧ください。



2011/11/13(日)紅葉。


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工房で一人静かな日曜日の午後。

考えてみると、一人工房での日曜日は5週間ぶりでした。


まわりからは虫の音や鳥の声が穏やかに聞こえ
向かいの山では一本立ちの山桜が赤く色づいています(写真中央)。

午後3時には早くも黄色みがかった陽の光。
静かな静かな里山の秋です。



2011/11/1(火)松坂屋さんでの作陶展が終了しました。



名古屋・松坂屋さんでの作陶展は
おかげさまで無事終了いたしました。

愛知、岐阜、三重をはじめ、遠くは東京、神奈川、千葉、大阪、京都、奈良、兵庫、福井、富山などから
たくさんの方がお出掛けくださり、盛況のうちに会期を終えることができました。
心より御礼申し上げます。

松坂屋さんにご賛同、ご協力をいただいて
東京に続いて展開させていただきました「箸置1000個プロジェクト」
おかげさまで出品した100個を完売いたしました。
ご賛同くださいましたみなさま、
またこころよくスペースを提供してくださいました松坂屋スタッフのみなさま、
どうもありがとうございました。
みなさまからお預かりしました寄付金10万円は
中野が責任を持って近日中に日本赤十字社へ寄付いたします。
結果はまたあらためてご報告いたします。


名古屋では、再来年の秋に次回の個展をさせていただくことになっております。
その時には一歩進んだ作品をご覧いただけるよう、
それまで制作に打ち込みたいと思います。

今後ともあたたかな応援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。


2011年11月1日
                            中野 純

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