[立野窯日記]2011年9月

中野純ウェブサイトは、LinkIconhttp://www.junnakano.com/へ移転しました。
このtatenogama.comのアドレスはアーカイブとして当面残してあるものです。

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2011/9/28(水)名古屋展案内状。


名古屋展まであと1ヶ月を切りました。
先々週あたりから、釉薬掛けと本焼きの作業に勤しんでおります。
窯を新しくして、さらに釉薬も新たに調合したので
調子をつかむのに苦労しておりますが
少しずついい具合に焼き上がってきています。


さて、
作業の合間に、案内状発送の準備もボチボチと進めております。

今年は今までよりも少し早めにお手元にお届けできそうです。
これまで名古屋展に来ていただいている方にはお送りする予定でおりますが
あらたにご希望の方はコンタクトフォームよりご一報ください。

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このところ日記の更新が滞り気味ですが
twitterには気が向くと作業の合間につぶやいたり
工房から見た景色などをアップしてみたりしています。
よかったらそちらもどうぞ。アカウントは

@tatenogama

です。




話は変わりますが、現在、千葉市美術館にて

LinkIcon「浅川巧生誕120年記念 浅川伯教・巧兄弟の心と眼―朝鮮時代の美」展

を開催中です。
先日、お花の稽古のついでに観に行ってきました。
やっぱり李朝白磁はいいなあ、としみじみ。

他に浅川伯教が作った茶碗が展示されていたり
浅川兄弟と柳宗悦の交流の様子が紹介されていたり
なかなか面白い切り口の展覧会でした。おすすめです。
といっても今度の日曜日(10/2)で終了なのでご興味のある方はお急ぎを。

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制作で忙しくしていますが
お花の稽古等で東京に出るついでに興味のある展覧会は観に行っています。
このところ観たものでは、上の浅川兄弟展のほかに

○名和晃平シンセシス展@東京都現代美術館
○空海と密教美術展@東京国立博物館
○クレー展@近代美術館
○フレンチ・ウィンドウ展@森美術館
○柳宗悦展@松屋銀座

うーん、われながら雑食(笑)。
横浜トリエンナーレも観に行きたいと思ってチケットは買ってあるのですが
個展前に観に行く時間がとれるかどうか…
11/6までなので、名古屋展からトンボ帰りして観ることも可能は可能なのですが、うーむ…。



2011/9/13(火)山村御流・秋の華展のご案内です。


山村御流、秋のいけばな展のご案内です。

これから、新宿(東京)と橿原(奈良)で開催されます。
秋は紅葉や実ものなど、春の華展とはまた違う趣のあるお花です。
入場も無料ですので、どうぞお出かけください。


[新宿]
第5回 大和円照寺 山村御流いけばな展

 ◆会期/平成23年9月15日(木)〜20日(火)

 ◆会場/新宿高島屋11階[入場無料]

  [前期]9月15日(木)〜17日(土)[後期]9月18日(日)〜20日(火)

  ※連日午前10時〜午後8時まで。ただし9月17日(土)および最終日は午後6時閉場。

 ◆主催=山村御流家元・東京精華会

20110912-01.jpgクリックで拡大します。





[橿原]
第23回 橿原教場 山村御流いけばな展

 ◆会期/平成23年9月23日(金・祝)〜25日(日)

 ◆会場/近鉄百貨店 橿原店6階 特設会場[入場無料]

 ◆時間/午前10時〜午後7時 ※最終日は午後5時で閉場させていただきます。

20110912-02.jpgクリックで拡大します。




2011/9/11(日)震災から6ヶ月。



ご存知のように、本日9月11日で東日本大震災から半年が経ちます。

地震、そして大津波がもたらしたあまりに未曾有の大災害と、
いまだ収束の見通しすら立っていない原発事故。

そして原発への対応ぶりを通して
戦後65年を経て日本社会が抱えている構造的な問題や
メンタリティの幼稚さが浮かび上がってきて
震災直後のショック状態のときよりも
かえって今の方が心にズシリと重くのしかかって
出口の見えなさに自分の心が消耗しているのを感じます。


そんな中、
あの震災当日、3月11日に工房を訪ねてくださったHさんから
心のこもった文章をいただきました。
Hさんは兵庫県芦屋市にお住まいで、17年前には神戸の大震災も経験されている方で
今度の震災にもとても心を痛め、
ぼくが震災後にさせていただいた花入れのチャリティにも
すぐにご賛同をいただいて1万円のお願いに対して、3万円のご寄付をしてくださいました。

そのHさんの文章は、「箸置1000個プロジェクト」とタイトルにありますが
震災の日を振り返り、一番大切なものは何か、ということをあらためて問い直した、
とても素晴らしい文章でした。
ぼくも拝読して、もう一度、震災直後の時の気持ちをあらためて思い出しました。

テレビをつければ政局の話やらゴシップやらばかり、
普段の生活でも今ではもう震災も原発危機も過去のもののような空気になりつつありますが
あらためて震災直後の頃のことを思い出してみる必要がある気がしてなりません。



以下、Hさんからいただいた文章を
Hさんのご了解を得た上でご紹介させていただきます。


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「中野純さんの箸置き1000個プロジェクト」


一枚板で出来た横長の食卓に、お箸置きを置いて、お箸を並べ、お膳立てをする。

お茶碗に炊き立てのご飯をよそう。

お箸置きもお茶碗も、中野純さんの作品。

お野菜のお味噌汁を添えて、感謝を込めて「いただきます!」

おかずは純さん手作りの“ふきのとうのジェノベーゼソース”とソーセージ。

そして、お茶碗によそっていただいたご飯の美味しかったこと。

「あー生きているんだ。生きていてよかった。」と心から思いました。

  ーーーーーーーー

3月11日の大地震の日のお夕飯を、私は生涯忘れることがないでしょう。


私は、友人たちと中野純さんの工房をお訪ねして、笠森観音に御案内いただき、そこで大地震に遭遇しました。

2011年3月11日14時46分、駐車場の地面は大きくうねり

境内の木々もざわざわと音を立て、前後左右に揺れていました。

しばらくして揺れがおさまったので、山道をゆっくり登り、観音様のやぐらのてっぺんまで上りました。

そのとき、また大きな揺れが来たのです。

神主さんが、「震度6とのことです。気をつけて下りてください。大きな地震のようです」と言われました。

やぐらが揺れを吸収する構造だったのでしょう。木の階段がきしみましたが

皆、無事地上に降り立つことができました。


急いで工房へ帰り、建物の無事を確認。

工房の作品たちは、床に転がったり、位置が変わったりしているものはありましたけれど

割れたものはなくて、「ああ、よかった!」と皆、安堵しました。

しっかりとした木造で、耐震構造の工房の建物はびくともしていませんでした。


家族、友人から心配して「大丈夫!」と安否を心配するメールや電話が入りましたが

返信できたのは最初のメールだけで、もう返信も通話はできなくなっていました。

テレビのニュースをつけて初めて、地震の規模の凄まじさを知りました。

震源は岩手県沖から茨城県沖の広範囲に及び、マグニチュード9.0。

それに伴う大津波と福島の原発事故。想像を絶する被害が広がっていたのです。

東京の交通網は大混乱、千葉の総武線、京葉線も止まっていて、夕方6時まで待っても回復の目途はつきません。

「よろしければ、皆さんで、今晩は泊まっていらしてください」との純さんの言葉に甘えさせていただき

「お世話になります。よろしくお願いいたします!」とその晩は皆で工房に合宿させていただくことになりました。


合宿なんて学生時代以来です。

避難生活に備えて、先ずは腹ごしらえをしておきましょうと、分担を決め、皆でお食事の準備を始めました。

純さんは、その合間に私達の家族に、メール、スカイプ、ツイッターなど駆使して連絡を取ってくださいました。

阪神大震災のときもそうでしたが、災害時、連絡がつかないことが、心配を何倍にも増幅させることになります。

素早い対応をしていただいて、家族全員どんなにありがたかったか分かりません。


食器と日々の糧の食物がこれほど近しい関係にあるとは、この日ほど感じたことはありませんでした。

そして、お箸置きにお箸を置いて、感謝と共にその命の糧を頂く。そのことの意味がより深く理解できた瞬間でした。




チャリテイのプロジェクトにお箸置きを選ばれたのは、そのような思いもおありだったのかしらと思います。

お箸置きにはそのような日本人の心が宿っているのかもしれません。

この震災でなくなった方達の分も、そして16年前のあの阪神大震災でいのちを落とされた方達の分も

「生かされている私たちは、この命を大切に生きていかなければならない」

まるで、その言葉は天から声のようでした。





東日本大震災から、明日で半年になろうとしています。

原発の被害が様々な形で、姿を表す中で、自分の身ばかり守ろうとし

物事の真相へ迫ろうとしない責任のある立場の人たちの態度には、失望し言葉もありません。

緊急に必要なこと、20年30年のスパンで取り組まなければならないことを即時に判断して

どうか実行に移してほしいと思います。

そして私自身も、新しい社会のリーダー、またその方達を支えてくださる研究者の方々に信頼を寄せて

復興への道を一歩一歩共に進んでいきたいと思います。


今の、これからの日本を担う純さんの世代の若い人たちが、希望を失うことなく

力強く歩み続けてくださることを心から願っています。

そして、子供達の未来に幸せをつないでくださることを・・・


私にもできることお手伝いさせてください。

日常的な、ささやかなことしかできないかもしれませんが

私なりに現実に向き合って行きたいと思うのです。


そしてお箸置き1000個のプロジェクトを応援させていただくことで

お言葉のように“こころの円陣を組んで”被災地の復興のために

日本の、世界の平和の為に祈り続けて行きたいと思います。


兵庫県 M.H.




2011/9/7(水)音楽室コンサート。


母が企画・運営している「音楽室コンサート」9月のお知らせです。

20110907-01.jpgクリックで拡大します。

第74回 音楽室コンサート 〜身近にクラシック〜
 前田地香子 ソプラノリサイタル

 日時:9月23日(金)午後3時開演

 会場:八千代市勝田台文化センター・音楽室(047-483-2141)
    (京成線・東葉高速線勝田台駅南口より徒歩5分)

 曲目:この道(山田耕筰)
    落葉松(小林秀雄)
    夏の日のレクイエム(小林秀雄)
    母の教え給いし歌(ドヴォルザーク)他

 伴奏:中野洋子



上に載せているチラシ画像、
なんと日にちという決定的に重要な情報が抜けています(笑)。

9月23日です!

お間違えありませんように。




この「音楽室コンサート」は
ふだん馴染みの薄いクラシック音楽を身近に楽しんでもらいつつ
若い演奏家に演奏の機会を作ろうという趣旨で
母が5年前に始めたものです。

入場は無料。
楽しんでいただけたら演奏終了後にカンパをいただいて
会場代を除いてすべて演奏者に行くというシンプルなシステムです。

八千代市や近隣にお住まいのみなさま、
クラシックの生演奏を楽しみつつ、
どうぞ若い演奏家を応援してあげてくださいな。
(時にはえ!この人が!という熟練の演奏家も出演されます)



このあとの「音楽室コンサート」ラインナップは以下の通りです。

第75回 10月9日(日)  土橋礼佳ピアノリサイタル
第76回 11月13日(日) 大野智子ピアノリサイタル
第77回 12月11日(日) 松本絵里子ピアノリサイタル
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第78回 1月22日(日)  新原百絵・松崎佑美 ピアノ名曲の午後
第79回 2月19日(日)  五味田恵理子ピアノリサイタル
第80回 3月18日(日)  笠原純子・友田恭子ピアノ連弾リサイタル
第81回 4月8日(日)   日高亜美(ピアノ)・日高慶子(ヴァイオリン)デュオコンサート
第82回 5月12日(日)  瀬尾久仁・加藤真一郎ピアノ連弾リサイタル
第83回 6月24日(日) 毛塚真理ピアノリサイタル
第84回 7月15日(日) 二宮歌奈子ピアノリサイタル

日時、演目は変更になることもありますのでご了承ください。





2011/9/1(木)今日から9月。 


今日から9月。
今年も3分の2が過ぎたことになります。
早いものですね。

次の名古屋の個展までも2ヶ月を切りました。
DM校正も終わって明日入稿、来週末には刷り上がる予定です。

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平行して12月の金沢展、1月の広島展のDM構成について考えたり
別件である通販会社さんとのコラボ企画の制作や取材があったり
もうね、ぼくの乏しいキャパシティ的には大変なのです。
サポートしてくれたり相談に乗ってくれる友人たちがいてくれるから
なんとかどうにかなっている今日この頃です。

肝心の制作も、
名古屋、金沢、広島と3個展分を考えなくてはいけないので
いくら時間があっても足りません。

思えば昔は年に1度の個展で精一杯でした。
それが2002年から名古屋が増えて年に2回になり、
さらに2006年には神戸が増えて年に3回になり。
それでちょっと無理がたたって膝を痛めてからは
名古屋と神戸を隔年で交互にして年2回ペースに戻したんですが
その後岡山も増えて、結局2009年、2010年と年3回ペースになりました。

そして今年は過去最多の年4回ペースに。
こんなタイトなスケジュールを組んだ自分を恨みつつ(笑)
コツコツと制作に勤しんでおります。

新しい土地で、新しい人に見てもらえるというのもすごくうれしいことなので、
これからも機会があれば個展の場を少しずつ増やしていきたいな、と思っております。
まあ自分一人の制作能力には限りがありますので
その範囲内で、ではありますが。



最後にお知らせです。
今度の名古屋展でも、松坂屋さんのご協力を得て
会場にて箸置チャリティができることになりました。

LinkIcon中野純・東日本大震災チャリティ箸置1000個プロジェクト

総個数1000個を目標としているこの企画で
今回の名古屋展で出品できるのは100個となります。
よろしければご賛同のほど、よろしくお願い申し上げます。


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