中野純・箸置1000個プロジェクト
3月11日午後2時46分。
ちょうど遠方から来窯された4人の方を近くの笠森観音へご案内している最中に、あの巨大地震が起きました。
交通機関が麻痺して、帰るに帰れなくなったお客様には急遽工房に泊まっていただくことにしました。
翌12日、交通機関の復旧を確認してからお客様をなんとか千葉駅までお送りして1人に戻ったものの、
震災被害と原発事故が深刻の度を増す中で、心がざわついてどうにも制作が手につかず
いろいろなことを思う中で思い立ったこと。
それはひとつは、すぐできることとしてすでに手元にある面取花入をとりあえずチャリティ販売するということ、
そしてもうひとつが、チャリティ用に箸置を新たに作ろう、ということでした。
幸いにも自分には個展という「場」がある。
もちろん、各百貨店さんには了解を取らなければいけないけれども
そこでチャリティスペースを設け、賛同してくれる方に買ってもらって
それを被災地復興のために役立てられないか、と考えました。
イメージとしては個展のたびに箸置チャリティのスペースを設け、販売目標は1000個。
1回の個展で50個出せるか100個出せるかわかりませんが、
50個だったら年3回の個展ペースで7年。
震災復興へはこれからも息の長い支援が必要になるので、とりあえずの目標としてちょうどいいかなと思ったのです。
そうしてさっそく制作にとりかかりました。
箸置の裏には震災への思いを込め、「20110311」と起きた日付を彫り込みました。
釉薬は灰釉各種で色もそれぞれ形もそれぞれ、背高さんもふっくらさんもいます。
土の色も、その上にまとっている釉薬もさまざまな箸置がこうして円陣を組んでいるように
肌の色も、身につけている思想や宗教もさまざまな世界中の人が円陣を組んで
この大災害に立ち向かって行けたら、という思いを込めて作りました。
まずはこの箸置プロジェクトに賛同してくださる方みんなで
こうして心の円陣を組んで被災地復興を祈れたら、とそんなことを夢見ております。
いつの日か、総数1000個、総勢1000人の方で組む心の大円陣。
一方、会場となる百貨店さんにも了解を取らなくてはいけませんから
震災後初めての個展となる松屋美術部のスタッフの方に、チャリティスペースを設けたいと話をしたところ
そういうのは今までなかったけれども、と言いつつもこころよく協力してくれました。
そうして迎えたこのプロジェクトのキックオフ、2011年6月の松屋さんでの個展。
さすがに100個も出るかなあ、余るかなあ、と思いながら初日を迎えたのですが
多くの方にご賛同をいただき、初日に55個、2日目に26個。
そして3日目の午前中に残り19個がすべて出て、結局2日半で完売。
なんともうれしい手応えとなりました。
ご賛同いただいたみなさま、どうもありがとうございました。
またチャリティスペースを設けることをこころよく了解してくださった松屋さんにも心より御礼申し上げます。
今後も個展のたびに、その都度作れる数の箸置をチャリティ出品していきたいと思っております。
いつか総数1000個になることを夢見て。
いただいた売上げは全額日本赤十字社へ寄付いたします。
よろしければご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
中野純・作 東日本大震災チャリティ箸置 1個1000円 各個展会場にて限定販売。
[次回]東京・松屋銀座本店 8階 イベントスクエア「第13回 中野 純 作陶展」会場にて開催予定。
(会期:2012年10月予定)
※経過は随時このページにて公開いたします。上の「経過報告」タブをクリックしてください。
経過報告。(2012.2.1.更新)
箸置総数1000個を目標にしたこのプロジェクトの経過報告は下記の通りです。(2012年2月1日現在)
会期 会場 出品個数 販売個数 寄付金額
① 2011年6月8日〜14日 東京(松屋銀座) 100個 100個 104,000円
② 2011年10月26日〜11月1日 名古屋(松坂屋) 100個 100個 100,000円
③ 2011年12月7日〜13日 金沢(香林坊大和) 50個 50個 51,000円
④2012年1月12日〜18日 広島(福屋) 50個 50個 50,000円
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合計 300個 300個 305,000円
②2011年6月:東京展 ②2011年11月:名古屋展 ③2011年12月:金沢展 ④2012年1月:広島展
ご賛同くださいましたみなさま、
また会場にチャリティスペースを設けさせてくださった松屋美術部、松坂屋美術部、
大和美術部、福屋美術部のみなさま、どうもありがとうございました。